この恋を叶えてはいけない
20章 再びの嵐の夜
 
「出張?」
「そー。今週末から名古屋」
「そっか」


陵がこうやって、出張に行くのは、決して珍しいことじゃなかった。

会社からも期待されている陵は、いろんなプロジェクトに顔を出している。
だからだいたい1か月に1回くらい出張で一泊~二泊いないことはよくあった。


「寂しいなら、夜のうちに帰ってくるけど?」
「……べつに大丈夫。
 だって夜も会合あるんでしょ?」
「ああ。やから、帰ると言っても日付は軽くまたぐやけどな」
「じゃあ、いいよ。
 ちゃんと次の日帰ってきてくれれば」
「そか」


一泊くらい、陵がいないことにはもう慣れた。


だから大丈夫。

そう思って、いつもと同じように返事をしたけど……






「………大丈夫かな…」



最悪にも、陵が出張の日は
午後から大荒れの天気となるようだった。
 
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