この恋を叶えてはいけない
「そー。別れた。
ってか、誰から聞いたの?」
貴志と別れたなんて、そういえば誰にも言ってない。
べつに隠そうとは思ってないけど、あえて悪い情報を自分から流そうとは思わなかったから。
「本人!
バイト言ったら、貴志が超へこんでてさー。
聞いたら、唯香にフラれたって」
「……フラれた、ねぇ……」
その言葉に、乾いた笑いが漏れた。
巴と貴志は、同じバイト先。
だから結構仲もいいし、大学が休みの夏休み中も、よく顔を合わせてたらしいのだ。
「意外だよー。
唯香と貴志って、すごい仲良かったからさ!
大学卒業したら、そのまま結婚するかと思うくらいだったし」
「何年先の話だよ」
「でもあっという間だよ!」
必要以上に力説している巴。
確かに巴は、いつもあたしと貴志を見ては、理想のカップルとか言ってたっけなぁ……。
「なんかごめんね。
別れちゃって」
「え、いや……べつに謝ることじゃないんだけどさ……」
と言いながらも、明らかにがっかりしていた。