この恋を叶えてはいけない
「……ついた……」
あれから、さらに20分ほど歩いたところに、ようやく目的のペンションに着いた。
あたしはタオルで汗をぬぐうと、可愛らしくデザインがされている扉を開けた。
「すみませーん。
予約していた早見……じゃない。
榎本ですが」
自分の名前を名乗ろうとして、予約をしてくれたのが貴志だと気づいて慌てて名前を変えた。
スタッフの人は、少し不思議に思いながらも笑顔で対応すると、
「榎本 貴志さまですね。
えっと……2名様の予約で承っておりますが……」
「あ、すみません。
相方、ちょっと都合が悪くなっちゃったんで……。
あたし一人になりました」
「そうですか。
えっと、確認のためにお客様のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「早見唯香(ハヤミ ユイカ)です」
「早見唯香様……。はい、お連れ様のお名前です。
こちらへどうぞ」
あたしの名前と、予約したときに記入した名前が一致したことで、スタッフの人は了承し、あたしを部屋に案内してくれた。
ってか、絶対に、彼氏にフラれたとか分かってんだろうな……。