この恋を叶えてはいけない
お母さんのためにも、今日はちゃんといい妹でいないと。
きっとお母さんは、仲のいい兄妹を望んでいるから……。
「あ、ここよ」
あたりが暗くなった頃着いた場所は、おしゃれなイタリアンの店。
少しだけドキドキする胸を抑えて、お母さんのあとに続いて入った。
「こちらへ」
ウェイターさんに案内された席には、まだ駿の姿はなかった。
「おしゃれな店だねー」
「でしょ?
なんて、お母さんも初めて入るんだけど」
「やっぱりね」
そんなお茶目な話をしていたら、再びウェイターさんが近寄ったきた。
そして後ろに続くもう一人の影。
「……お待たせ」
「駿!
来てくれてありがとう!!」
どう反応していいか分からない息子に、テンションの高い母。
その姿に、ちょっとだけ笑えた。