この恋を叶えてはいけない

それからお母さんと駿は、長年会っていなかったことが嘘のように打ち解けあっていた。

というのも、もとから母は人一倍社交的でもあるので、ぐいぐいと駿にアタックをかけている。
それにたいして、最初は少したじろぎ気味だった駿も、お母さんに心を許しているようだった。



「でも本当に今日は嬉しかったわ…」


一通り食事を終え、食後のコーヒーに口をつけてお母さんが言った。


「ずっとね、誰にも言えなかったけど……
 唯香と…駿と……みんなで食卓を囲めたらって、ずっと思ってたの。

 だけど唯香には駿の話をしていなかったし、駿もお父さんからどう言われているのか知らなかったし……。

 本当に、お父さんとお母さんの勝手な都合で、二人をバラバラにさせてごめんね」
 

改めて、あたしと駿に謝罪をするお母さん。

その姿を見ていたたまれなくなり、あたしはお母さんの肩に手をかけた。


「あたしはお母さんのこと、ちっとも恨んでなんかいないよ。
 離婚したのだって、小さい頃は分からないこともあったけど、今はちゃんと理解してるから」

「唯香……」

「……俺も、親父と母さんのことを恨んだことなんかなかったよ」

「駿っ……」


あたしと駿の答えを聞いて、お母さんのこと目には涙が溜まっていた。

そして笑顔をこぼしていた。
 
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