*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
ケンちゃん……。

ケンちゃんはいつも優しくて、わたしに勇気をくれる人。


「慰めてくれてありがとう。でも、ほんとにそんなん全然ないっていうか……。告白されたこともないねん」


「ちぃちゃんはなぁ……。男を警戒してるっつうか、拒否ってるようなオーラを出してるねん」


「ええ? 何、それ? オーラ?」


「うん。オレ、思うねんけど……。モテるとかモテへんとかって、もちろんルックスとか性格もあるけど、それ以前にその人が持ってるオーラみたいなもんも関係あるんちゃうかなって」


「いわゆる、モテオーラってやつ?」


「ううん、ちゃうちゃう。そんなんじゃなくて。えー……どう言ったらいいんやろ。例えば、ナンパとかにしても、声を掛けやすい子と掛けにくい子がおんねん。ちぃちゃんは、そういう意味で声を掛けにくい子やねん」


「そ、そうなん……?」


がーん……。

なんか軽くショック。

たしかにナンパなんてされたことないし。


「なんかなぁ……。声をかけても、『相手にしてもらえなさそう。警戒されて冷たくされそう』みたいに思ってしまうねん。……そうそう」


ケンちゃんは、何かを思い出すように、クスクスと笑いだした。


「初めて会った時なんか、ほんまに『わたしに声をかけないで!』って感じでシャッター降ろしてたもん」


「えええー! そんなつもりなかったよー! ただ、男の子って苦手っていうか……」


「うん、わかってるよ。今はわかってる。……でもまぁ……今でもちょっとだけ、壁を感じるなぁ」


「え! ウソ! ほんとにそんなつもりないのに!」


「その証拠に……」


「うん……」


なんて言われるのかちょっとだけ怖くて……わたしは、ゴクリと唾を呑んだ。
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