*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
そして結局、強引に二人に着付けられた。


落ち着いた色合いの水色地に白の朝顔模様。

花の真ん中の辺りだけ、うっすらと紫色や朱色が入っている。

帯はモダンな印象の赤のチェック柄。


最初見た時は、この組み合わせで大丈夫なの?って思ったけど、着てみたら意外にしっくりはまった。

さすが、お母さんの見立てだなぁ……なんて感心してしまう。


髪はお姉ちゃんが結ってくれた。

頭のトップでフワフワのお団子にして、アンティークっぽいビーズでできたお花の髪飾りをつけた。

鏡の前でくるりと回ってみる。

うん。

我ながら、なかなか似合ってるかもしれない。



ふと鏡の中の自分に問いかけてみる。


あの時、なんでサトシ君からの誘いを受けたんだろう。


シィ君のこと、早く忘れたい。

その為にも他の男の子とも、もっと積極的に関わらなきゃって思ってる。


誰でも良かったのかな……。

それとも誘ってくれたのが、サトシ君だったから……?


「千春―? 待ち合わせ時間、まだ大丈夫なん?」


お姉ちゃんのその言葉に我に返った。

慌てて家を出ると、慣れない浴衣と下駄に苦労しながらも、待ち合わせ場所へと急いだ。

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