*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「めっちゃ可愛い。似合ってんで、浴衣」



思いがけない言葉に思わず顔を上げてしまった。

男の人から褒められることなんてめったにないから、こんな些細なことにもいちいち反応して真っ赤になってしまう。

サトシ君の方はと言えば、特に照れた様子もなくいつもと同じような笑顔で笑ってる。


こんなセリフもサラッと言えちゃうなんて、ほんとこの人って女の子の扱いが慣れてるんだろうな。



「じゃ。行くか」


サトシ君は手に持っていた吸いかけのタバコを地面に落とすと、足で火を揉み消した。



「ちょ……ちょっと!」


そのまま行ってしまいそうになる彼を呼び止めた。


「サトシ君! あかんやん! 吸殻こんなとこに捨てたら!」


しゃがみ込んで吸殻を拾う。


「だいたい、高校生がタバコなんか吸ったらあかんやん! 体に悪いねんよ……」


と話しながら、急に我に返った。

わたし何、真面目にお説教なんかしちゃってんの?
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