*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
はぁ……。

そういうことか。


たしかにオレらの間では、ユウには手を出さないっていう暗黙の了解があったけど……。

それは、オレに遠慮してたってわけか。

男同士の友情に泣けてきそうだ。


「アイツさ、さっきの男。アサミの彼氏なんだって。3年の佐々木」


「マジで?……っつか、なんでオマエ、そんなん知ってんねん?」


「カナコからの情報」


「ふーん」


「あ。ついでに言っとくけど、オレとカナコ、付き合ってるから」


ヤマジは普段と変わらぬポーカーフェイスで、またさらりと言ってのけた。


一方オレは、ヤマジの言葉を理解するのに数秒を要した。



んん?

今、なんかすごい発言だったような。

つまり、それは……。


「え……えええええ?」


思わず自分でも驚くぐらいの大声を出していた。


「マジで? そうなん? ひょっとして、オレだけ? 知らんかったん」


ヤマジはそれには答えなかったが、ニヤニヤ笑っている。


はぁ……。

再びうなだれる。


オレって……

自分ではなんでも上手く立ち回れる方だと思っていたんだけど。

実は全然周りが見えていし、超鈍感なのか……?
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