俺様副社長に捕まりました。

あなたへの思いは 掃除の後で・・・・

「ちょ・・・ちょっとこれ・・・・」
「だから言ったろ?・・・・悲鳴をあげるなよって・・・」
驚く私の横で水沢さんは恥ずかしそうな表情で手で顔を覆った。

どうしたらこうなるのだろう。
水沢さんのリビングはリビングとは言い難いほどの荒れようだった。
テーブルの上にはビールの空き缶と読んだ形跡のない新聞。
ソファーには脱ぎ散らかしたワイシャツや靴下
リビングがこんな状態ならと私はキッチンへと向かった
案の定、シンクの上にはコンビニ弁当の容器、使用済みのコップや皿

一体いつからこんな生活をしていたのだろう・・・・
きっと洗濯機の周りも似たようなもの・・・
見なくても大体想像がつく。
あまりにも悲惨な現状に悲鳴などあげる余裕すらなかった。
私の知っている水沢副社長はいつも凛として
初めてこのマンションに来たときだって
家政婦なんて必要なほど綺麗だった。
それが・・・・とんでもなく汚部屋化していた。
「家政婦さんは?・・・・私竹原所長に次の家政婦さんをお願いしたはずです。」
だが水沢さんから出た言葉に言葉を失った。
「家政婦?そんなものいらないって断ったよ!」
いらないって・・・・
いらないなんて言えるような状態じゃない。
「断るって・・・・こんな状態にまでしてなんで断ってんのよ!」
ショックを通り越して怒りに近い感情が沸々と湧いてきた。
だけど水沢さんは私の怒りなど無視するかのように鋭い視線を私の投げかけた。
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