俺様副社長に捕まりました。
パーティー会場に入った途端またしても固まってしまった。
会場にいた女性たちの視線が一気に水沢さんに向けられていたからだ。
秘書をやってた頃、桐山専務の奥様の体調がすぐれなくて急遽私が奥様の代わりに
専務とパーティーに参加したことがあったがこんな光景は流石になかった。
・・・専務だからっていうのもあるけどね。

しかも水沢さんを女性が取り囲む情景を私は少し離れて客観視してた。
ここまで来たら私がいてもいなくてもどうでもいいのでは?とさえ思えてくる。
それと同時に自分がこんなところにいること自体場違いだとも感じた。
水沢さんはというと女性陣から逃げつつ、いろんな会社のお偉いさんがたと
歓談していた。
完全に放置プレイだよね・・・乾いた笑いと共にほっとかれていることへの
寂しさを感じた。
会場に入るためだけに私を同伴するのなら
入ったことを確認したら現地解散でもよかったのに・・・
家政婦になってこういった場所が苦手になった私には息苦しさしかなかった。
秘書だったら仕事として割り切ってちゃんと切り替えるだけの技量があったのに
今の私って・・・・・何の役にもたってない。
そう思ったら早く帰りたかった。
キレイなドレスも全て陳腐に見えて早く脱ぎたかった。
相変わらず水沢さんは私のことなど眼中にない様子で歓談してる。
私が帰ったって何とも思わない。というより気づかないでしょ。
このまま帰って家政婦を解雇されてもそれでもいいとさえ思えてきた私は
預かっていたコートをクロークで受け取ろうと会場を出ようとした。
その時、強い力で私の腕を誰かが掴んだ。
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