俺様副社長に捕まりました。
露天風呂は本当に最高だった。
檜のお風呂から香る檜の香りと竹林の青々とした香りは涼しげでそれでいて
気持ちを落ち着かせてくれた。
時間を忘れ日々の疲れを癒し、浴衣に着替えて部屋に戻ると
既に夕飯の準備が整っていた。
水沢さんもいつの間にかスーツから浴衣姿でしかもさっぱりした顔をしていた。
「あの・・・水沢様・・・お風呂って」
「室内の風呂にはいった・・・腹減ったから食べよう」
「は・・はい・・すみません」
私は慌てて向かい合うように座った。
室内のお風呂って・・・・言ってくれれば早く露天風呂出たのに・・・
なんだか申し訳ない気持ちになった。
ビールの栓を抜いてグラスに注ぐと水沢さんが私の持ってたビールを取り
私のグラスにビールを注いだ。
「すみません。」
そして水沢さんが自分のグラスを持ち上げ一緒に乾杯した。
「お疲れ様です」
「お疲れ」
お風呂上がりのビールはやっぱり最高においしい。
でも飲んでる相手が水沢さんだとどうしても完全にリラックスできない。
これも仕事と割り切って笑顔を作った。
目の前に並べられた料理は繊細で上品で食べるのが勿体無いぐらいだった。
会席料理は秘書だった頃何度か食べる機会があったが
京都で食べる懐石料理は薄味で上品な味付けだった。
「どうだ?」
まるで自分が作ったみたいに水沢さんは私に感想を求めてきた。
「とても品があって見てるだけでも飽きませんね。でも私にはこんな
繊細な料理は一生作れませんけど」
料理を一口食べて美味しさを再確認した。
「でも俺は君の作る料理が一番好きだ」
水沢さんは表情一つ変えずに言った。
それが料理だとしても・・・・
好きだって言葉はそれなりの破壊力があって
私は一瞬で赤くなった顔をごまかすようにグラスの中のビールを飲み干した。
その後も特別会話も弾まず静かな夕食は終わった。
< 53 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop