君と僕等を、繋ぐ線。










約束の時間に、上川出版の人間が事務所を訪ねて来た。







取材の時と同じ記者。 畑田もいた。







菓子折りを差し出しながら、必死に頭を下げるその女。







オレの隣にいたマネージャーが『次からは気をつけてくださいね』とアッサリ謝罪を受け入れた。







そりゃ、そうだ。







この業界は持ちつ持たれつ。







曲を売るには雑誌の宣伝が必要。 雑誌を売るのも、話題性のあるアーティストの記事が必要。








『今後NGで』なんて大口叩いた自分が、物凄く恥ずかしい。







オレにそんな力なんかないのに。








これ以上話もないし、カッコ悪い自分が情けなさ過ぎるしで、その場から離れようとした時












「あの!! 桜沢さん!!」








畑田に呼び止められた。








「・・・・・・・・・・・・・」







無言で畑田の方を見ると








「秋さんの非公式のブログ、見た事ありますか!??」








畑田が、思いも寄らぬ事を言い出した。
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