最後の恋にしたいから
まるで子供ぽいこの反応。

呆れられただろうけど、本当にドキッとしたから仕方ない。

やっぱりこれは、恋なのかな……。

寿人といる時も、いつだって胸は高鳴ってたもの。

あの感覚と同じ……。

すると、課長は握り拳を口元に当てて私を見た。

その頬は、少し赤みを帯びている。

「お前ってさ、何でそういちいちオレのツボなわけ?」

「えっ? そ、それはどういう……」

『意味ですか?』と聞こうとして、ヒールの近付く音で我に返る。

それは課長も同じだったようで、サッと私から顔をそらすとコーヒーを入れ始めた。

「あれ? 祐真に古川さん、お疲れ!」

元気良く入ってきたのは、二課の女性課長、安藤智花(あんどうともか)課長だった。
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