最後の恋にしたいから
安藤課長に呼ばれる覚えがない私は、それまでのモヤモヤが吹っ飛んで、一気に緊張してきた。

立ち上がる私に彩乃も、「何をやらかしたのよ?」と言ってくる始末だ。

「はい、大丈夫です」

同じ『課長』でも、祐真さんとは緊張の度合いが違い過ぎる。

女性の上司というのは、どうしてこうも気が緩めないのだろう。

背筋を伸ばすと、安藤課長は浮かない顔で、それでも小さな笑顔を浮かべた。

「ごめんね、仕事中なのに。ちょっとこっちに」

そう言われて連れていかれたのは、いつもの課長会議で使う部屋だった。

課長は鍵をかけ、ブラインドを開けて光を差し込ませる。

そして私はというと、緊張でドア付近に突っ立っているだけ。

すると、クルッと振り向いた安藤課長が、弱々しい笑顔で私を見ると言ったのだった。

「不躾でごめんね。もしかして古川さん、祐真と付き合ってる?」
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