ぺピン
突然の登場に驚いたのは、さっきまで下品に笑っていた彼女たちだった。

悪口のネタにしていた本人が現れるとは、誰も予想していなかっただろう。

京香は視線で彼女たちを一蹴すると、持ち場へと向かった。

一蹴された彼女たちは恥ずかしいと言うように、目をそらすようにうつむいた。

何とも清々しい光景に、恭汰は怒りを感じていた自分の気持ちが晴れ渡ったような気がした。

晴れ渡った気持ちで中に入ると、
「頑張ってるかー?」

うつむいている彼女たちに声をかけた。

恭汰の登場に、彼女たちはまた驚いた顔をした。

(ざまあみろ)

心の中で恭汰は彼女たちに向かって舌を出した。

部活が終わった後の音楽室の掃除当番は、恭汰と京香の2人だった。

「かっこよかったよ」

ほうきを持っている京香に向かって、恭汰は声をかけた。
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