小宮の隣・俺のモラル
濱村は、あのキスを覚えているはずもなく…。
俺は、毎日なにかの拷問に耐えているみたいだった。
この友達の関係を壊さないように、少しづつ築き上げて、隙あらば濱村の心の隙間に入り込もうと思っている。
理性とか欲望を全部押し殺しておかないと、濱村を襲いそうだった。
そんな鬱憤を晴らす為に、1人でバーに行った。
濱村に似てる人でいいから、触れたい。そんな思いで、酒を頼む。
「マティーニ下さい。」
店の中は、活気に溢れていて、皆酒を交わしながら楽しんでいる。
「はい。どうぞ。君、見ない顔だね。」
バーのマスターに声を掛けられる。
「初めて来ました。」
「ここのお店のこと知ってて来たんだよね?」
「もちろん。誰か…いないかなぁー?って。」
自分で言ってて可笑しくなる。
「君は、顔綺麗だから皆気になっちゃうんじゃないかな?」
「嬉しいような、そうでないような…複雑ですね…。」
「きっと、楽しめると思うよ。」
「ありがとうございます。」
周りを見回しても、濱村に似た奴はいない。溜め息が漏れてしまう。
「……はぁ。」
ートントンー
?
左肩を叩かれた。
「隣いいかな?」
「はい…。」
俺に声を掛けてきたのは、スーツに身を包んだ、甘くて刺激的な香水をつけた男だった。