サイコーに幸せなお姫様。



さり気なくあみに妊娠の兆候なんて聞いてバカみたい。



諦めているつもりなのにやっぱり私も赤ちゃんがほしかった。



私は数年前、大きな交通事故に遭った。その後遺症で左手に軽い麻痺が残って毎日の薬の服用は欠かせない。



ほとんどの薬の注意書きには「妊娠されている方は医師に相談して……」なんて当たり前のように書かれているし……



自分の服用している薬もきっと妊娠中には服用できないんだと勝手に諦めていた。



薬を毎日服用している私の体から



生まれてくる赤ちゃんに影響がないのか……



怖かったんだ。



ツッチーにも話せないでいた。だってツッチーは赤ちゃんを心から望んでいたから。



やっと社会復帰して昔の勘を取り戻してきたころだったからそれを理由に子供はもう少し先に……なんて言葉を濁して……



逃げていた私ってかなり最低。ずるい女。



ツッチーに絶望されるのもまた……



怖かったんだ――……




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