サイコーに幸せなお姫様。



「ごちそうさま!」



両手を合わせてさっさっと自分の皿をひいてキッチンの流しに持っていくなお。



一一何だ?


妙な違和感。
なおらしくない。



「ごちそうさま」



遅れて俺も手を合わせて皿をなおが洗い物をしている流しに持っていく。



「ありがと」



いやいや。自分で食べた皿をひくのくらい当たり前なのに。



こんな些細なことでお礼を言うくらい家事を一切なおは俺にやらせようとしないんだよな。



家庭的な姫。



なのに俺は一生懸命作ってくれた晩ご飯を「いただきます。」も言わないで食べようとした。



バカみたいな意地はっちゃってかっこ悪い。だから洗い物をしているなおを後ろからギュッと抱き締めた。



「ごめんな?さっきいただきますって言わないで食べようとして」


「いいよ。ていうか邪魔だから離して!茶碗洗えないじゃん!」



ぷっ……突然の俺の抱擁に慌てている姫。口調は相変わらずだけど声が上ずっていてかわいくてたまらない。




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