結婚してください

サインされた婚姻届は俺の誕生日に市役所へと届け、俺たちは別々の生活をすることにした。


学校では、亜紀が転校したことで俺たちは別れたと思っていたようだが、俺の左手薬指にある指輪を見て結婚したのが分かるとその噂はあっという間に学校中に広がっていった。


そして亜紀も実家でこれまで同様の生活をし以前のような楽しい高校生活を送っている。


ただ、これまでと違うのは「藤堂亜紀」と名前が変わったことだ。


どんなに別々の生活をしていても俺たちは夫婦であり、何かあれば連絡をすることにしていた。


まるで友達からやり直しをしているようだ。


不思議な関係だといえるかもしれない。


けれど、この条件を付けたのは正解だったと思える。


あれからの亜紀は俺に露骨に嫌な態度を取ることをしなくなった。


そして、少しだが俺にも笑顔を向けてくれるようになった。





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