結婚してください

私を車に乗せると一緒に病院まで付いてくれた。


「これくらいの怪我は病院へ行かなくても大丈夫なのに。」


「山での怪我だから甘く見ないほうが良い。
それに、たまには二人で過ごすのも良い。」


そう言って英輔が私の顔を覗き込む。


え・・・と、病院へ行くのに 二人でって・・・


「亜紀、この3日間を過ごしたらまたいつもの生活に戻って良いから。
心配しなくても大丈夫だから。安心していいよ。」


それって私が山崎と過ごしても良いということ?


私にはもう期待していないってこと?屋敷には戻らなくても良いってことなの?


それとも「離婚」を考えているってことを意味しているの?



「痛むの?」


「ううん、大丈夫」


肩を抱き寄せられるとそのまま英輔に身を預ける形で座っている。


英輔の大きな優しい手が頭を撫でている。


昨夜の夜と同じくとても温かく安心できてしまう自分が不思議だった。



病院へ着くと連絡が行っていたのか優先的に治療を受けた。これも藤堂家の名前があるから?と思ってしまった。


待たされることなくスムーズに治療を終えた。


幸い怪我は大したことなく数日後には回復するだろうというものだった。


そして再び車に乗り宿泊施設へと向かった。


向かっているはずなのに、先ほどとは違う方向へと車が走っている。


「どこへ行くの?方向が違うわ」


「足を怪我したし疲れもしただろ? 二人で食事にでも出かけないか?」


「食事に? でもバーベキューは」


「3日間だけは俺の妻でいてくれるんだろ?
3日過ぎればお前はまた居なくなる。
だから、せめて明日までは二人でいよう。」


これまで見たこともない英輔の優しい眼差しに「ノー」とは言えなかった。


この時、プラネタリウムの条件と言う言葉は頭に浮かんでこなかった。


自分の夫であるこの人との時間を過ごしたいと素直にそう思えたから。


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