第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
足元にクレーターを作られた子供達は、我先にと逃げて行った。悲鳴が聞こえたのは、この際無かった事にしよう。

ドールさんは立ち上がると、僕の元へ駆け足で戻ってきた。
可愛らしい笑顔を僕に向ける。


「大丈夫、ケビン?」

「僕よりドールさんは大丈夫なんですか?」

「怪我の事じゃないよ。“此処”」


ドールさんが僕の胸を指す...嗚呼、精神的にって事か。


「大丈夫ですよ。」


ドールさんは僕の手と自分の手をまた繋ぐと、僕に微笑みかけた。
なんだろう...今ドールさんが何を思っているのか、解らなかった。


「ケビンが居心地悪ような顔したから、原因を潰せば笑ってくれると思っただけだよ。」

「え...。」


僕ってそんなに不服そうな顔をしていたのか...これは、失礼な事をしてしまったな。
ていうかドールさんその為だけに、あんな事したの!?
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