第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
其の後食事が届いて、俺達は食事を済ませた。
そんなに多く注文していないので、食事はすぐに終わった。

今、テーブルの上にはギフトが勢いで頼んだビールが3杯置かれている。
ギフトとドールと俺の分だろう。


「さぁ!久しぶりに飲もうじゃないか!!」

「やったぁー!飲もう飲もう!!」

「...何で俺も。」


とは言いつつもビールを手に取ると、一気に半分まで飲み干した。
アルコールと炭酸が体に染みる。
俺は外戸ではないので、酒は結構飲めると自負している。
ドールは俺よりも強く赤くなった所を見たことがない。
一体どんな肝臓しているんだ。

だが...ギフトは酒に弱い挙句酒癖が酷い。
酒に溺れても元が賢いので意味の解らない事を言う。


「アハハッ!!知ってるかい!?潰した脳味噌ってのはさぁ!!
フハハッ!!ゼリーみたいに柔らかいんだよ!!」

「ちょっと黙れよ、ギフト。」

「えぇ?何で何で何でェ??フ、ハハ...アハハッ!!」


やはり止めるべきだった...。
もう既に周りが見えていないようだ。
アヴァンが少々怯えた様子で俺に視線を向ける。


「ギフトって、その、何時も...?」


ギフトを指でさしながらアヴァンはそう言った。
俺は有無を言わず肯定の言葉を述べた。

ドールの視線が俺を捉える。俺もドールへと視線を向けた。
ドールの口がゆっくりと動いた。

《おいとま しようか》

俺でも少しの読唇術は使える。
俺は右手で「OK」サインを出すと、アヴァンとディーブにもう帰る事を伝えて、会計の元へ足を向かわせた。

完全に酒に溺れたギフトはドールが担いで運んだ。
俺は担がれたギフトのポケットから財布を取り出すと、ドール達に先に店を出ろと指示した。

無事会計を終えると、颯爽と店から出た。
財布をギフトに戻すと、俺達は宿へ帰った。
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