第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
思い出してみればアヴァンは飽き性だったな。掃除や仕事は飽きない癖に他の事はすぐ飽きる、其の調子で俺の事も飽きてはくれないのだろうか。
恐らく十中八九無理だろうがな、出会いが余りに衝撃的過ぎたからな。

嗚呼、何であんなタイプでも無い女にベタベタされ続けるのだろう。
つい癖になっている溜息が漏れた。

俺の手を握っているディーブが、また俺の手を引いた。
何だと思い、ディーブに視線を落とす。


「抱っこして...。」

「お前13歳なんだから歩けよ...。」

「マーシャルの小屋まで遠いし、道が整備されていないから足場が悪い。」

「そう言うのを言い訳って言うんだぜ。」

「...ケチ。」

「歩く事も大事だ、お前は健康に悪過ぎるんだよ。」

「五月蝿いな...。」

「はい、はい、其処まで。ディーブ、我が儘言わないの。良いね?」


ディーブは頬を膨らませ、少しだけ赤くなっていた。
そして、小さく頷いた。
そんな嫌そうにするなよ。俺が悪いみたいな感じになるだろう。
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