第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「あっ、マスター!言い忘れていた事がありました!!」
「ん?何だい、フェスターニャ。」
調整局での出来事を報告し損ねていた。
キース・ラドンとマロン・ルヴァルトの事だ。
挑発してくるドールを差し置いて、私はマスターへ報告を始めた。
「キース・ラドンが私に疑念を感じている模様です。
マロン・ルヴァルトは定かではありませんが、ラドンの指示に従っているようです。
私に小型発信機を付けてきましたから。」
マスターは思考を働かせておられたのか、一瞬表情が固まられた。
「キースか...、あいつは大丈夫だよ。既に質の良い首輪を付けておいたから。
報告ありがとう。」
「首輪...ですか。」
「そう、首輪。キースは危なかっしい猟犬だからね。
噛み付かれる前に手を打っておいたんだ。
あいつは割りと扱いやすい人間だから...。」
流石マスター、もう既に手を打っておられたとは...。
ナタリアが呆れた顔でマスターを見つめる。
「聞く限り、まるで机上の遊戯だな。お前は言わいるストーリーテラーか、狂言回しってとこか...。
全くお前は一体、如何言う頭してんだよ...。」
「こう言う頭だよ。
ナタリアが僕を褒めるなんて、嵐の前兆か何かかな?」
マスターは茶化した風にナタリアに言う。
そんなマスターの言葉を気に止めず、ナタリアは深い溜息をついた。
「お前に一々突っかかってると、ストレスで早死しそうだ。」
「死んだら目玉を貰うからね。」
「死人から取ってんじゃねぇーぞ。罰当たりが...。」
「大丈夫、ちゃんと丁重に扱うから。」
「俺の話ちゃんと聞いてたか...?」
マスターは微笑んで答えを濁した。
「...眠い。」
ディーブがマスターの服の袖を引っ張って言った。
時刻は日を跨いでおり、子供には少々辛い時間のようだ。
マスターはディーブを抱きかかえると、「それじゃ、もう寝よっか。」と言って、奥へ続く扉を開け行ってしまわれた。
ドールは私に唾を吐きながら、自室へと足を運んで行った。姿が見えなくなると、ゲルマージュ語で「死ね」と呟いた。
ナタリアは薬物中毒の青年を連れて、使われていない空き部屋へ向かった。
私も空き部屋を使わせてもらおうと、ナタリアの後に続いた。
空き部屋を使わせてもらおうと思っていたのだが、生憎ナタリアと青年の分しか部屋が無かった。
リビングに戻ってソファーで寝ようと思い、足を戻していると丁度マスターと会った。
「嗚呼、部屋なら今セルリアの所が空いてるよ。其処使いな。」
「解りました。マスター。」
「じゃ、おやすみ。フェスターニャ。」
「良い夢を、マスター。」
マスターと別れて私はセルリアの部屋に向かった。
セルリアの部屋はあの性格から考えられない程、壁一面に本棚が置かれビッシリと壁を覆い尽くすかのように、本が置かれていた。
床を見れば本棚に収まりきれていない本が、綺麗に積まれていた。
本を見てみれば、学者が読むような小難しいものから、児童が読みそうなお伽噺までジャンル問わずに置かれていた。
家具はベッドと机、クローゼット、本棚、だけで机の周りにはセルリアの好きそうなナイフから銃まで様々な武器が散らばっていた。
其の中には武器のカタログなどが紛れ込んでいる。
一見してこの部屋はまるで、セルリアと別の誰かの2人で生活しているように見える。
不思議に思ったが詮索する気は無く、私はセルリアのベッドに横になって、眠りについた。
「ん?何だい、フェスターニャ。」
調整局での出来事を報告し損ねていた。
キース・ラドンとマロン・ルヴァルトの事だ。
挑発してくるドールを差し置いて、私はマスターへ報告を始めた。
「キース・ラドンが私に疑念を感じている模様です。
マロン・ルヴァルトは定かではありませんが、ラドンの指示に従っているようです。
私に小型発信機を付けてきましたから。」
マスターは思考を働かせておられたのか、一瞬表情が固まられた。
「キースか...、あいつは大丈夫だよ。既に質の良い首輪を付けておいたから。
報告ありがとう。」
「首輪...ですか。」
「そう、首輪。キースは危なかっしい猟犬だからね。
噛み付かれる前に手を打っておいたんだ。
あいつは割りと扱いやすい人間だから...。」
流石マスター、もう既に手を打っておられたとは...。
ナタリアが呆れた顔でマスターを見つめる。
「聞く限り、まるで机上の遊戯だな。お前は言わいるストーリーテラーか、狂言回しってとこか...。
全くお前は一体、如何言う頭してんだよ...。」
「こう言う頭だよ。
ナタリアが僕を褒めるなんて、嵐の前兆か何かかな?」
マスターは茶化した風にナタリアに言う。
そんなマスターの言葉を気に止めず、ナタリアは深い溜息をついた。
「お前に一々突っかかってると、ストレスで早死しそうだ。」
「死んだら目玉を貰うからね。」
「死人から取ってんじゃねぇーぞ。罰当たりが...。」
「大丈夫、ちゃんと丁重に扱うから。」
「俺の話ちゃんと聞いてたか...?」
マスターは微笑んで答えを濁した。
「...眠い。」
ディーブがマスターの服の袖を引っ張って言った。
時刻は日を跨いでおり、子供には少々辛い時間のようだ。
マスターはディーブを抱きかかえると、「それじゃ、もう寝よっか。」と言って、奥へ続く扉を開け行ってしまわれた。
ドールは私に唾を吐きながら、自室へと足を運んで行った。姿が見えなくなると、ゲルマージュ語で「死ね」と呟いた。
ナタリアは薬物中毒の青年を連れて、使われていない空き部屋へ向かった。
私も空き部屋を使わせてもらおうと、ナタリアの後に続いた。
空き部屋を使わせてもらおうと思っていたのだが、生憎ナタリアと青年の分しか部屋が無かった。
リビングに戻ってソファーで寝ようと思い、足を戻していると丁度マスターと会った。
「嗚呼、部屋なら今セルリアの所が空いてるよ。其処使いな。」
「解りました。マスター。」
「じゃ、おやすみ。フェスターニャ。」
「良い夢を、マスター。」
マスターと別れて私はセルリアの部屋に向かった。
セルリアの部屋はあの性格から考えられない程、壁一面に本棚が置かれビッシリと壁を覆い尽くすかのように、本が置かれていた。
床を見れば本棚に収まりきれていない本が、綺麗に積まれていた。
本を見てみれば、学者が読むような小難しいものから、児童が読みそうなお伽噺までジャンル問わずに置かれていた。
家具はベッドと机、クローゼット、本棚、だけで机の周りにはセルリアの好きそうなナイフから銃まで様々な武器が散らばっていた。
其の中には武器のカタログなどが紛れ込んでいる。
一見してこの部屋はまるで、セルリアと別の誰かの2人で生活しているように見える。
不思議に思ったが詮索する気は無く、私はセルリアのベッドに横になって、眠りについた。