第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
side:ケビン
数週間ぶりに僕は外の世界に出た。
本当は少し出てくるだけでも、僕はかなり体力を消費する。

自分の体なのだけれども、セルリアが現れてから、酷く疲れるようになった。
単に僕が弱い(精神力が)だけなのかもしれないが...。

早速視界に入ったのは、ディーブ君と爆弾魔のサラフィリアさんだ。
いくらセルリアと記憶が共有出来るとはいえ、理解に苦しむ事にかわりはない。
だが、出てきてしまったからには、やる事をやらなければならない。
仕方が無いと言った感じで、僕は頬を掻いた。


「ディーブ君...何が食べたい?ある程度なら、僕作れるから...。」

「...簡単なものでいいよ。特に指定しない。」


アバウトな注文だと結構困るんだけどな。
続いて僕はサラフィリアさんに視線を移した。


「貴女は何が食べたいですか?」


サラフィリアさんは何故か僕を見て、顔を顰めた。
僕が何か失礼な事でもしただろうか。
短い記憶を辿ってみたが、特に思い当たる節が見当たらない。


「な、何キモい喋り方しとんの?!」

「えっ...き、キモイ?」


今なら号泣出来る自信があるよ。
本当は僕の体なんだけどな...。
仕方が無い事だよね。セルリアと僕は、正反対の性格と言っても過言ではないのだから。
ディーブ君が口を開く。


「さっき言ったでしょ、今はセルリアじゃなくて、ケビンなんだよ。この体の本当の持ち主。」

「は?わ、訳解んねぇんだけんど??」

「理解し難いと思いますけど、今はケビンです。...」


納得してくれたのかよく解らなかったが、一応首を縦に動かしてくれた。
しかし僕の複雑な気持ちは晴れなかった。
後でセルリアに伝えよう。
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