イケメン同期に素顔を見抜かれました



いやいや。

私のことを狙ってる人なんていないでしょ。

心の中で冷静にツッコむ。

しかし、大事なのはそこではない。

「……まだ別れてもないのに、私にそんな告白してくるの?」

項垂れる有村の表情が、答えだ。

「直接会って話そうとしてるんだけど、何か勘付いたのか、会ってくれないんだ」

さすが真理ちゃん、魔性の女。

ずっと想いを寄せていた人から告白を受けているというのに、なぜ私はこんなに冷静でいられるのだろう。

自分でもびっくりするくらい、私は冷静だった。

そう、冷静に対応していたと思っていたけれど。




「おい、崎坂っ……!」




何も言わずに、駆け出していた。

心臓が、バクバクする。

顔が、熱くなる。

有村が、私のことを好きだと言ってくれた。

片想いじゃ、なかった。




だけど、まだ。

彼はカノジョのもの。

まだ、私が喜んでいいわけじゃない。




『さっき言ったことは本当だから。だから待っててほしい』




私が逃げ去った後、送られてきた有村からのメッセージ。

私はその画面を開いたまま、電車の中から変わる景色をただ茫然と眺めていた。


< 34 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop