イケメン同期に素顔を見抜かれました



ぼんやりした私を現実に戻したのは、手の中にあるスマホだった。

『芽衣~っ。ヒマなら遊んで!』

可愛くお願いのスタンプがつけられた紗希からのメッセージ。

今日のクリスマスイブは、確か彼と過ごすと聞いていたのに。

『どうしたの?』と返すと、返事がすぐに帰ってきた。

『急な仕事で会えなくなっちゃったの。チキンも予約していてもったいないから食べに来てよ』

よかった。ケンカしたとかじゃなくて。

ホッとして、私は了解の返事を返すと同時に、紗希の住む駅へ電車が着いた。

ホームへ降りると同時に、家へ連絡を入れる。




『あら、そうなの? 紗希ちゃんによろしくね』

そう言った母の声は、いつもより嬉しそうだ。

「お姉ちゃんから連絡いった?」

『もちろんよ! 明日雛が帰ってきたら、宮脇家と合同でお祝いしましょうね』

「いいけど……。でも慎くんいないんでしょ?」

『うん、でも慎くん以外はみんな集まるし』



呑気なお母さんの声に、そっと電話を切る。

恐らくお祝いの話を持ち出したのは、慎くんのお母さんかお姉ちゃんのりんちゃんだろうなぁ。

あの人たち、本当にお姉ちゃんにお嫁にきてほしかったみたいだし。

そう考えると、ひとり不在でお祝い、なんて話にも納得がいく。

でも……

「嬉しいけど、ちゃんと笑えるかな……」

私の心は、少しだけ上の空だ。


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