イケメン同期に素顔を見抜かれました

「み、宮脇さん……」

「ん?」

「お、俺っ、宮脇さんのファンで! ずっと憧れていたんです!!」

「えっ!?」

櫂の突然の告白に、次は芽衣を始め、崎坂家の面々が固まった。




「へぇ、そうなんだ。俺のドラマがキッカケで野球を?」

「はい、デビュー作で宮脇さん、野球少年の役だったじゃないですか。あの役がすごいかっこよくて。俺もあんな風になりたいなって思ったのがきっかけで始めたんです」

「うわあ、それは嬉しいなあ」




櫂と慎吾が和気藹々と語る中、テーブルに頬杖をついて、面白くない顔をしている人物がひとり。

「芽衣、どうしたの? そんなふて腐れた顔して。慎くんと有村くんが仲良くなってくれて、嬉しくないの?」

「嬉しくないわけじゃないけど……、有村があんなに慎くんのことが好きとは知らなかった」

「好きな芸能人の話とか、そういうのしてなかったの?」

「……そういえば、秋クールの慎くんの連ドラ、予約録画までして観てた気はするけど、目的が慎くんとは気付かなかったよ」

「芽衣は、自分が有村くんを構わないのは平気なのに、自分が構ってもらえないと拗ねちゃうのね」

図星をつかれ、芽衣は何も言い返せなくなる。

「相変わらず素直じゃないわねぇ。もう少し可愛く接してあげないと、有村くんも可哀想よ」

「いいの。これが私たちの付き合い方なんだから」

頬を膨らませた芽衣に、雛子はこれ以上は何も言うまいと、肩をすくめた。




< 53 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop