初恋の君は俺を忘れてしまいました。

先輩

今日もそうしようと靴箱に向かうと、昂の靴のところに人影があった。


靴箱は学年ごとに違っていて、二年生がこっち側の靴箱に来ることはほとんどない。


いや、昂のことだけは例外だ。


ふつうの人だったら、昂の靴箱の中に手紙を入れて帰るか、渡すためにまっているかのどちらかだが、待っている二年の先輩の手に手紙らしいものは見当たらない。


ふと、顔をみると、二年ではとても有名な先輩だった。


目はくりくりしていて、背丈も私より低い。


去年の文化祭の美女コンテストの優勝者と一年でも有名な先輩だった。


先輩は、私に気付くと、私の目の前まで歩いてきた。


「昂君、知らないかな?」


私に言っているらしい。


先輩も私たちが一緒に登校していると知っているからだろう。


「昂は自転車置きに行っています」


「そっか!ありがとう」


「いえ」


私は先輩を抜き、靴を履きかえる。


そのとき、先輩が思い出したように私の方を向いた。


「あ、悪いんだけど、昂君に用があるから、先に教室へ行っててくれない?」


「あ・・・はい」


こういう風に私のことを邪魔だと思う先輩は少なくない。


先輩だけでなく、同級生もだと思う。


いじめみたいなものはないが、裏では多分・・・。


前にも一度、こういうことがあった。
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