初恋の君は俺を忘れてしまいました。

病院

Said sana


ゆっくり目を開けると白い天井が見えた。


首だけを動かし、あたりを見回すとすぐに、保健室だとわかった。


そして、隣には私の手を握りしめ、寝ている昂。


カーテンの隙間から、見える時計は十一時を指していた。


一時間近く寝ていたんだろう。


昂を起こそうとしたとき、ちょうど保健室の扉の開く音が聞こえた。


入ってきたのは、やっぱり、先生だった。


「あら。大丈夫?あんた、授業の終わりにグラウンドで倒れたのよ」


「あ、はい。そこまでは覚えてます」


「松村くんに感謝するのよ。松村君、すごく焦った顔して保健室に飛び込んできたんだか
ら。」


「そ・・・うなんですか・・・」


「あんまり、周りに心配かけちゃだめよ。貧血だと思うけど、一応、病院へ行った方がいい
わ。病院は・・・


「毎週行っているところへ行きます」


「そう。親御さんにも連絡して、今から来てくれるっていうから、自分の荷物まとめて来なさ
い。」


「はい」
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