初恋の君は俺を忘れてしまいました。
ふと、昂が口を開いた。


「今日、病院は?」


「あるよ?」


「一緒にいく」


「いーよ。悪いし」


「いや、今日は行く」


「なんで?」


「今日の朝、美羽にお前のこと、連れて来いって。夕飯、うちで食え。」


「え?」



「・・・」


昂は何か言いたそうに口がこもる。


「なに?」


「・・・今日も一人だろ?」


昂はうちの事情を知っている。


気を使ってくれたみたい。


でも、今日に関しては親が、しかも二人ともいる。


本当は帰りたくない。


あのまま夕飯まで食事をしたら、息が詰まる。


しかも、親は今日私のことで病院へ呼ばれている。


と、いうことはその話だって食事している間にでるはず。


「今日はちょっと・・」


「なんかあったか?」


「いや・・」


昂は私の反応で何かを察したらしい。


このまま引き下がって・・・


「やっぱり来い」


昂は、鋭いな。


私が家に帰りたくないこと、一瞬でばれてしまった。


「でも、やっぱり・・・


「大丈夫」


「でも・・・


「美羽」


「うっ・・」


美羽ちゃんのこと言われると言い返せない。


「・・・じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」


「おう」

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