初恋の君は俺を忘れてしまいました。

向き合う

このままじゃ昂にもっと恥ずかしいところを見られて、聞かれてしまう。


そして、病気のことも・・・


私は昂にお礼を言って帰ってもらおうと、後ろにいる昂へ振り向いた。


「あのさ、今日は・・・


私の横を通り、リビングのドアを一気に開いた昂。


「誰なんだ。君は」


「あなた・・・昂くん?」


お母さんは昂と何度か会ったことがある。


お母さんにはそのたびに昂のこと、聞かれたんだっけな。


昂はお父さんの方を向いて一度お辞儀をした。


「はじめまして。松永昂と言います。沙菜さんとは中学から一緒で高校でも、お世話になって
います」


「・・・沙菜はどこなんだ。君が連れまわしているのだろう?」


私はちょうど二人の死角にいる。


「沙菜さんが今日一日気にしていたのはお二人のことだったんですね」


「「?」」


ばれてたんだ。


病気のこともあるけど・・・。


昂は少しだけど勘違いをしている。
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