それでも愛してる。




今まで1度も感情を表に出して
何かをした事はなかった私が


人を突き飛ばし怒鳴ったものだから
びっくりして女の子は
涙を流していた。


「どうかしたの?」


タイミングがいいのか
悪いのか太陽が食堂から帰って来た。


止まった時間がまた動き出し
私は静かに落ちたご飯を拾った。


「ねぇ、愛菜どうしんだよ?」


すぐに近寄ってきて
一緒にお弁当を拾ってくれる太陽に
何も言わずに私は黙って
立ち上がる。


お弁当箱も壊れてしまっていて
拾ったご飯には黒いほこりが
たくさんついていて
愛子さんのお弁当の面影もない。


「ごめんなさい…。」


申し訳なさとやるせなさで
頬を伝う涙。


「…。」


拭う事もせずに
お弁当箱を両手で持っていることしか
できなかった。



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