それでも愛してる。

太陽の力 ー愛菜ー





その時、太陽が
私の腕を掴み歩き出した。


急な事で驚く私をよそに
黙々と廊下を進む。


「太陽!?」


大きな背中に揺れる黒髪だけが見える。

太陽は今どんな顔をしているの?

何を考えているの?


屋上へと続く階段を登る。


立ち入り禁止のはずの
屋上なのに鍵はかかっておらず
ドアを開けて外へと出る。


そして太陽は手を離して
私を見た。


いつもへらへら笑ってるくせに
今は見たことないくらい
真剣な顔で見つめている。


「何よー…。」


そんな顔を見ていると
どうしていいかわからなくて
私は視線を逸らす。


と。


バッと空に向かって手を伸ばした。


「え?」


静かに目を閉じて太陽は
やっといつも通り笑った。


「俺のおまじない教えてあげる」


驚いた私をちらり見て
また自分の高くあげた手を見る。



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