それでも愛してる。




「引越しはいつなの?」


「うん、来週にはって考えてる。
早めの方がいいかなってさ。

あ、お金なんだけどこれからは
仕送りするわね。
ご飯は自分で作って食べるんだよ。」


こんな話をしていると
本当にいなくなるのだと
実感する。


「料理覚えなきゃね。」


今まで何もしてきたこと無いから
愛子さんがいる
期間に覚えなくちゃ。


「まずはお弁当からだね。」


「明日一緒に作る。」


ご飯を食べ終えると愛子さんは
一冊のスケッチブックをくれた。


「なにこれ?」


開いてみると色鉛筆で
綺麗にかかれた料理本だった。


「これ見たらある程度
出来ると思うから頑張ってね。」


最後の最後まで優しい。




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