それでも愛してる。




エレベーターを降りて
私は走った。


どっち方面だろう。


見渡しても
もう太陽の姿はない。


駅ー…。


ふと思い浮かんだのは
駅だった。


ここからじゃ駅までの道は
1つしかない。


ダメ元で私は走った。


かなり距離がある。
タクシーやバスに乗られてたらおしまいだ。


太陽…。お願い…。


小さな橋が遠くに見えた。


そこにはさっき見た黒い服の人ー…。


いっそう早く走った。


「太陽!!!!!!!!!!!!」


私の呼ぶ声に彼は振り返る。


息を切らしながら顔をあげると
そこにはやっぱり太陽の顔がある。


「太陽…。どこ行くの…。」


太陽は何も言わない。


「ねぇ、帰ろうよ。
学校も行かなくちゃ…。」


ねぇ太陽。
一緒に帰ろうよー…。


「愛菜ー…。ごめんな。」


そう言って私を抱きしめた。
その瞬間。私の涙腺は完璧に崩壊した。


「さよなら。」


そう言って私から離れた太陽は
歩き出す。


待って…。


「待って太陽!!」


それでも止まらない太陽の足。





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