不機嫌な君
金崎部長が眠るベッドの横に椅子を置き、静かに腰掛けた。

…安らかな寝顔に、安堵の溜息をつき、金崎部長の手を取った。

温かい…ちゃんと生きてる。そう実感出来たら、また、涙が出てきた。

「ふ…ぅえ…」
声を出さないように、必死に声を殺す。
それでも、どうしても嗚咽が漏れる。

…ギュ。

「…金崎…部、長?」
私の手を、金崎部長が握り返した。

…そして、ゆっくりと目を開けた。
「金崎部長!!」

私は横たわる金崎部長に抱きついた。

「ッ!」
金崎部長の顔が歪む。私はハッとして、離れようとしたが、金崎部長が私を抱き締めた。

「…死んじゃうかと思いました」
「…心配かけたな」

「…こうなったのは、私のせい…」
…、言いかけて、それを阻止された。

「島谷のせいじゃない。どっち付かずだった俺の責任だ。だから、もう何も考えるな…ただ、俺の傍にいる事だけを考えろ」

そう言うと、また、金崎部長は、ゆっくりと目を閉じた。
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