不機嫌な君
その後、葉月さんが家まで送ってくれた。…葉月さんはよくうちに来て、泊まったりする。だから、第二の自宅みたいなもので、どこに何があるのか、熟知していて、勝手に湯を沸かし、コーヒーを淹れると、私に差し出した。

「…ありがとうございます…それと、今日は、大変ご迷惑おかけして、すみませんでした」

そう言って頭を下げた。

「本当よ〜。朝からおかしいのに、おかしくないの一点張りで黙々仕事してるし、金崎部長は、凄い剣幕で怒り出すし。オフィスにいたみんなが、どれだけ焦ったか、わかってる?あ〜…もう絶対ひとみちゃんはクビだって思ったわよ」

「…本当、すみません」
その言葉以外思いつかない。

「…やっと金崎部長が帰って来たかと思えば、突然廊下に呼び出されて、何を言われるかびくびくしてたら、まさかのひとみちゃん倒れたとかだし!心臓止まるかと思ったわよ!」

「…重ね重ね、ご心配おかけしました」
もうただ平謝りだ。

「…で?そんなになるほど、何があったの?…また、金崎部長絡み?」

ズバリ言い当てられ、苦笑いしかでなかった。
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