不機嫌な君
「嫌なら、来なくていい」
そう言うなり立ち上がった金崎部長は鞄を持ちドアに向かって歩き出す。

「え、あ、仕事は?」
私も慌ててそれを追いかける。

「…わっ」
ドアで突然足を止めた金崎部長が振り返る。見下ろされた私は、ドギマギしてしまう。

「そんなのとっくに終わってる」
「え⁈」

「…お前一人残して帰れるわけないだろ」
その言葉にパッと顔が赤くなる。が、金崎部長は不機嫌な顔で続けた。

「部下を置いて帰る上司がどこにいる?」
「…あ…で、すよね」
スーっと赤みが引いて行く。…そうか、そうよね。それ意外にここにいる理由はない、か。

「…あ!!待って下さい!」
考えている間に、行ってしまう金崎部長。私は必死にそれを追いかけた。

…………

………

……。

食べられない。…緊張し過ぎて。
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