不機嫌な君
…その後は少しずつ緊張がほぐれ、楽しい食事になった。…金崎部長が笑ったのは最初の一回だけで、後はずっと仏頂面のままだったけど、それはそれで面白かった。

…駅まで一緒に歩いて、同じ電車に乗った。私達の駅は、一つしか違わない。

自分の停車駅に着き、電車を降り振り返る。

「…今日はご馳走様でした」
「…別に」

「それじゃあ、おやすみなさい」
「…島谷⁈…」

金崎部長が私の名前を呼んだ瞬間、電車のドアが閉まってしまった。

「…え???…何て言ったの??」

ドアのガラスが電気で反射して、金崎部長の顔がよく見えなかった。
でも、確かに、何か言ったのはわかった。
しばらくその場から動けずにいたが、そこに居てもしょうがないと思い、家路についた。

…。

「…好きだ…だったりして」
一人呟き、勝手にニヤける。
でも私、どうかしてるわ…どんだけプラス思考だよ、と、一人突っ込み…でも結局、ニヤけは止まらなかった。
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