インナーチルドレン(かわいい金魚番外編)
純が、こうして俊介と一緒に暮らせていること。
それも、この純にしか見えない、幼い少年のおかげだ。

純だけだったら、俊介に声をかけることなど、出来なかった。
自分が、俊介を必要としていると、認めることさえも。

たったひとりで、投げやりに生きていた頃。
自分なんか、野たれ死んでしまうのだろうと思いながら。
そう簡単に、死は純に近づいてはこなかった。

他人とのかかわりに、毎日傷ついて。
今日で世界が終わればいい。
夜毎、願っても、朝は繰り返した。

誰も信じられない。
誰も、純を見ない。
誰にも必要とされない、誰も、必要としない。
抱え込まされた覚悟は、つらくて。
つらいことを認めたら、自分が崩れるとわかっていたから、ひたすら、他人を、過去を恨んだ。

そんなとき、出会った、おせっかいな医者。
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