【完】GAME OVER
「なんか、ごめんなさい」
「なんでお前が謝んだよ」
「昨日から、たくさん迷惑かけちゃってて」
「んなことねぇし」
それに、と。
雅が、私を優しく引き寄せた。
「……俺が、全部好きでやってんだよ」
ふわりと香る、昨日は気づけなかった爽やかな香り。
突然抱きしめられても、不思議と嫌とは思わなくて。
私の学校とは違う黒がメインの制服越しに聞こえる、ほんのわずかな鼓動の音に、なんだかほっとする。
「……雅」
昨日までほぼ初対面だったとは思えないほどに。
その温もりが愛おしくて、ほんのちょっと、彼の制服を握った。