ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
朝比奈先生はかすかに唇を尖らせ、じっとりと私を見つめ返している。




「智恵子、ちょっと無防備すぎるよ。

その気もないのに夜に男と二人で会うなんて………」




「でも、仕事ですから」




「それにしたってさ……。

君は絶世の美女なんだから、気をつけないと」




真顔で言うので、おかしくて噴き出しそうになってしまった。



絶世の美女って。


さすがの私も、自分がそこまで美人だとは思わないわよ。




「お気遣いいただけるのは嬉しいですけど、私にとっては、仕事が一番大事なので。

仕事をとるためなら、食事くらいなんてことありません。

今夜も、いざとなったら殴ってでも逃げようと思ってましたし」




「そんな危ない賭けみたいなことして」




「嶋田先生だって良識ある大人なんですから、危ないことなんてありませんよ」




やっぱり言い訳のようになってしまうのが情けない。




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