花の下に死す
 (まさか……?)


 義清の脳裏に、一つの推測がよぎった。


 (鳥羽院はこのことを、ご存知だったのでは?)


 そう考えると、多くのことが説明がつく。


 白河院の死後、手のひらを返したように璋子に対して冷たくなった鳥羽院。


 わけもなく自らの嫡男であり、璋子が産んだ崇徳帝を疎んじ……。


 「あ……!」


 恐ろしくも畏れ多く、そしておぞましい考えが義清の頭の中に浮かんだ。


 「まさか崇徳帝は、鳥羽院のお子ではなく……」


 「お前の想像は、残念ながら当たっているだろう」


 そういうことか。


 今まで謎だったことが理解できた。


 異常なまでに我が子を憎む鳥羽院。


 それは単なる、権力を巡る争いだけではなく。


 「鳥羽院は崇徳帝を、“叔父子”と呼んで忌み嫌っていると聞く」


 表向きは我が子。


 しかし実のところは祖父の子、つまり叔父。


 正妃の産んだ「叔父」を「子」として遇し、その子に皇位を継がせなければならなかった……。
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