叶う。 Chapter2
そして今度はそのままシオンの部屋に向かった。
シオンの部屋は、まるでそこに誰も居なかったかのように全ての痕跡が消されてた。
それは本棚から何から何まで、全てがまるで1度も誰にも触れられてすらいないようだった。
私はどこかにシオンの痕跡がないか、部屋全体を見回したけれど、やっぱりシオンの痕跡も見当たらなかった。
私は最後にシオンの机の引き出しに手をかけた。
すーっと滑らかに引き出されたその場所に、私は見たことがある本を見つけた。
それは革表紙にゴールドのラインが入った、あの日見た聖書だった。
私はそれを手に取ると、パラパラとページを捲った。
すると、ある場所でやっぱりそのページは動きを止めた。
そこには真新しい紙が小さく折り畳まれて挟まっていた。
私は思わず手が震えたけれど、そのメモをそっと取り出すと、震える指先でそっと開いた。
"I hope your happiness."
(君の幸せを願う)
それは紛れもなく、シオンが書いた文字だった。
もう何度となく見慣れた筆跡に、私は等々耐えきれずにその場にへたりこんだ。
涙が頬を伝う。
シオンに会いたい。
もう一度だけでも、シオンに会いたい。