叶う。 Chapter2




そして今度はそのままシオンの部屋に向かった。


シオンの部屋は、まるでそこに誰も居なかったかのように全ての痕跡が消されてた。


それは本棚から何から何まで、全てがまるで1度も誰にも触れられてすらいないようだった。


私はどこかにシオンの痕跡がないか、部屋全体を見回したけれど、やっぱりシオンの痕跡も見当たらなかった。


私は最後にシオンの机の引き出しに手をかけた。


すーっと滑らかに引き出されたその場所に、私は見たことがある本を見つけた。


それは革表紙にゴールドのラインが入った、あの日見た聖書だった。


私はそれを手に取ると、パラパラとページを捲った。


すると、ある場所でやっぱりそのページは動きを止めた。


そこには真新しい紙が小さく折り畳まれて挟まっていた。


私は思わず手が震えたけれど、そのメモをそっと取り出すと、震える指先でそっと開いた。




"I hope your happiness."
(君の幸せを願う)


それは紛れもなく、シオンが書いた文字だった。

もう何度となく見慣れた筆跡に、私は等々耐えきれずにその場にへたりこんだ。

涙が頬を伝う。

シオンに会いたい。

もう一度だけでも、シオンに会いたい。





< 427 / 458 >

この作品をシェア

pagetop