叶う。 Chapter2




暫く待つと男は私に中に入るようにと言って、私は男に連れられてクラブの中に足を踏み入れた。

相変わらずの耳障りな音楽がとても不快だった。

その場所は前回来た時と変わらず、沢山の人で賑わっていた。

あまりの人の多さと熱気に頭がクラクラとしたけれど、私は厳つい男の後にゆっくりと着いていった。


男はやっぱりVIPルームに向かって歩いていた。


その場所にシオンやレオンが居てくれたらと、祈るような気分で階段を上がってみたけれど、最後の1段を上がりきると、私の願いはやっぱり届かなかった。


相変わらずの黒と赤のその空間、何時もなら上座に座るシオンの姿はなく、代わりに柴崎さんがその場所に座っていた。

付き人はその横に、以前柴崎がいた場所に座っている。

今日はいつもの刺青をした男の姿は見当たらなかった。

だけれど、ソファの一番端にみやと呼ばれていたあの女性の姿があった。


「やぁ、やっぱり君か。」


柴崎さんは私の姿を確認すると、気さくにそう声を掛けてきた。


「いきなりお邪魔してすみません。」


私はそう言って、丁寧に頭を下げた。


シオンの席に居るって事は、多分この場所で今一番偉いのは柴崎さんなのだろうと思ったからだ。



「まぁ、とりあえず話をしようじゃないか、どうぞ座って。」


柴崎さんは笑顔でそう言ったけれど、やっぱりその鋭い目付きに私は一瞬迷った結果、いつもレオンが座っていた場所の端にゆっくりと座った。




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