夜空の琥珀
 
「さっきの話、聞いてた? 学生が学校にいるのは当たり前です」



 ただでさえ、子供の学力不足が嘆かれる世の中だ。

 学習に関して口を酸っぱくする親がこの日本国ではほとんど。


 だが、そんな世の理を根本から覆してくるのがウチの両親。

 電話の向こうで展開する話に、どんどん眉間のシワが深くなるのを感じた。



「……学校に行くな? 公務員の言葉とは思えないね。

 それは、来年受験を控えてる学生に対する挑戦なのかな。それとも、直接僕に対する挑戦?」



 容赦なく問いただしたつもりだった。

 しかし、


 ――落ち着け。


 ハッとする。

 話し合いに不利な条件を、自ら作ってしまうなんて。
 
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