課長さんはイジワル2
慌ててその手を払い、楽屋から飛び出して表に出る。


その後を一歩一歩、安田が詰め寄って来る。


「どうしたの?まるでネコみたいだ。全身の毛を逆立ててフーフー言ってる。
そんなに僕が怖い?」


降り始めた雨がポツリポツリと頬を打つ。



危険な感じがする。



逃げなきゃって思うのに、足がすくんで一歩も動けなくなってしまう。



「支配して……組み伏してみたいな、その華奢な体とか、強気な瞳とか」


安田が突然、私の腕を強い力で引っ張り、その腕の中に封じ込めてしまう。


安田が顔を近づけてくる。


「安田!……やっ!」


罠に絡め取られて、もがけばもがくほど逃れられない深いキスに捕らわれる。






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