課長さんはイジワル2
「愛の一人くらい、おいが食わしてやるけん、次の仕事が見つかるまでうちにおったらええ」

「とぉちゃん、だけど、私……」


課長と一緒にいたい。

反論しようとする私にすっと手を伸ばし、課長が遮る。


「お心遣いありがとうございます。ですが、僕も愛さん一人、養うことはできますから」

「なんば言いよっとか!あんたも失業者やろ?!どうやって愛ば食わしていけるとね?」


『失業者』の言葉に、食事の用意を始めていた例の3人組もピクン!と反応し、準備をする手が止まる。


「次の当てが無いわけではありません。
ですが、しばらくは、残務処理のため澤村証券に籍を置いて働くことになっています。
もちろん、その際の給料の支給も保障されています」

「そがんね……」


シュンとなるとぉちゃんにさらに課長が畳み掛ける。


「お父さん、実は、近く僕はNYに行こうと思ってます。
その際、愛さんも一緒にお連れしたいと思うのですがよろしいでしょうか?」

「ヌ、ヌーヨーク?!なんでヌーヨークね?」

「以前、話していました『神様からの課題』を解きに行きたいと思っています。
そして……」


課長が私をちらっと見る。


「愛さんの足を治してあげたいと思っています。
奥田さんの紹介してくれた医師が愛さんの足の治療は可能じゃないかと打診してくれました。
以前のように踊れるようになると……」


足が……治る?

また、以前のように踊れるの?

まさか……。


「ありがたか話しやけど、他人のあんたにそこまでしてもらういわれはなか。
ヌーヨーク行くだけでん、どがん金が掛かる思うとか?
その上、治療ばすって……」


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